高脂血症の治療

高脂血症(脂質異常症)の治療といっても基本はやはり「食事療法・運動療法を中心とした生活習慣の改善」になります。この基本路線でどうしても症状の改善が見られない場合に「薬物治療」を使用することになります。
薬物治療ではLDLコレステロールを減らす薬剤や中性脂肪を減らす薬剤を使用しますが、薬物治療だけで完全に治すことはできないと言われており、高脂血症はなかなか厄介な病気です。
また、生活習慣の見直しで数値が一旦改善したとしても、その後生活習慣が元に戻ってしまったような場合は、再び高脂血症になってしまうケースも珍しくないようです。
最近では、生活習慣の改善とともに血液サラサラ成分を多く含むサプリメントを活用する方も多く見られるようになってきました。
さて、高脂血症の基準値に該当した場合、さらに詳しく検査をして動脈硬化の危険性等を調べた上で治療に入ることになりますが、まず第一段階では、食事療法と運動療法が主体となり、薬物治療は無しか、あくまで補助的位置づけでの使用にとどまります。
第一段階で血清脂質が目標値に達しない場合は薬物治療を並行して行い、食事療法もより制限を厳しくした第二段階へと進むことになります。
いずれにしてもこれらは医師の指導によるきちんとした治療を受けることが重要になってきますが、そこまでいかない場合でも、経過観察中の予備軍の方がすぐに実行に移すことができるのが、生活習慣の改善である「食事療法」と「運動療法」ということになり、高脂血症治療の基本になります。

高脂血症の食事療法・運動療法のポイント

●食事療法
食事療法は、まず自分の適正エネルギー量を計算し、その数値を把握することから始まります。
高脂血症の人に限らず、生活習慣病を持つ人の殆どは一日に必要なエネルギー量以上の食事をとっている場合が多いので、自分の適正なエネルギー量をまず把握する必要があるのです。

【適正エネルギー摂取量=*標準体重×25〜30kcal】
      *標準体重=身長(m)×身長(m)×22
      (例)身長が170cmの場合⇒(1.7×1.7×22)×30=1,907kcal

上記で算出した「自分の適正エネルギー量」に沿うよう食事内容を見直していくのですが、そのポイントは主に以下のとおりです。

⇒コレステロールの多い食品を控える。
 卵黄・レバー・ベーコン・たらこ・すじこなどは1回の量を抑える。

⇒コレステロールの吸収を抑える働きのある植物繊維の多い食品を多く摂る。
 いも・豆類・野菜・きのこ・海藻類を積極的にとる。

⇒コレステロールや中性脂肪を低下させる作用のある大豆製品や青魚を多く摂る。
 大豆・納豆・豆腐・いわし・さんま・さばなどをとる。

⇒中性脂肪を増やす原因となる過剰な糖質の摂りすぎやアルコールの飲み過ぎを控える。
 間食で果物や菓子類をあまり食べない。週2回以上の休肝日を設ける。

⇒身体の酸化を防ぐ効果のあるビタミンA・C・Eを多くとる。
 緑黄食野菜(ビタミンA)、野菜類 (ビタミンC)、植物油・種実類 (ビタミンE)を摂る。

アルコールは通常どんな種類であっても中性脂肪値を上昇させますが、日本酒1合弱、ビール中瓶1本でおよそ160kcalにもなり、お茶碗1杯分のご飯と同じくらいのカロリーとなるので憶えておきましょう。
また、一緒に食べるおつまみが特に問題で、カロリーの高い脂っこいものや塩辛いものは避けることが重要です。
残業時はついつい甘いものが欲しくなりますが、カロリーの高いお菓子類は極力減らし、腹持ちのよい小さなおにぎり一つなどにとどめておくように心がけましょう。

●運動療法
運動療法は、脂肪やエネルギーの消費効果以外にも、体内で脂肪調節酵素のリパーゼを活性化させてコレステロール値を適正な方向にする効果や、血圧を下げて動脈硬化を防ぐ効果もあるため、日常生活にはできるだけ運動を取り入れるようにしましょう。
ポイントとしては、あまり激しい運動ではなく、できるだけ定期的に一定時間続けることができるような有酸素運動を選ぶことです。
適切な運動により酸素をより多く消費することが効果的です。
中高年の方などは現実的に考えれば、通勤時のウォーキングや、週に数回のプールでの水泳や水中ウォーキングなどが、現実的な選択といえます。

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