認知症の初期症状
認知症は突然にわけが分からなくなるというものではなく、喜怒哀楽の感情や自尊心などはかなり認知症の症状が進行しないと失われることはありません。
特に、認知症の初期には忘れてしまったことにより辻褄の合わない行動をとることで本人が戸惑いを覚え、認知症を隠そうとする行動が見られることがあるようです。
そういったことを隠そうと、さらに辻褄の合わない行動をとることがありますが、認知症の初期段階にいる本人も内心では、何かおかしい?といった不安な気持ちになっているので、周囲の人は咎めたりせずにちゃんと気持ちを理解して上げる必要があります。
また、認知症の初期症状の特徴として、昔の記憶ははっきりしているのに、新しい事を忘れるというのがあります。
つまり、昔の記憶は問題ないのに、数日中のことを忘れる、やがて数分前の出来事を忘れるという状態になります。
さらに認知症の症状として、時間と場所において自分が置かれている状況を正しく認識できなくなる特徴があり、曜日や月といった時間的な見当が次第につかなくなってきます。
認知症の中核症状
認知症の症状は中心となる中核症状(必ず見られる症状)と、それに伴って起こる周辺症状(必ず見られるとは限らない症状)に分けられますが、中心となる中核症状は記憶障害と認知機能障害(失語・失認・失行・実行機能障害)から成り、必ず見られる症状になります。
これらは神経細胞の脱落によって発生する症状であり、患者全員に見られ、病気の進行とともに徐々に悪化します。
認知症の周辺症状
周辺症状は必ず見られるとは限らない症状で、人によっても差があり、怒りっぽくなったり、不安になったり、異常な行動が見られたりします。
主な症状としては、幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動(異食症)、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力(噛み付く)、性的羞恥心の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出など)、時間感覚の失調、などがあります。
これらは神経細胞の脱落に伴った残存細胞の異常反応であり、前述の中核症状と違い一定の割合の患者に見られます。
出現状況は一般的に5年〜15年かけて現れると言われており、その症状も非常に多岐にわたるため、多くの周辺症状が同時に見られることも珍しくありません。
BPSDとも言われるこれら症状の特徴としては、軽症から中等症にかけて進行するにしたがい頻繁に出現するようになり、患者は日常生活を行う能力を急速に喪失していくことになります。
このため、周辺症状の発現が深刻化することによって家族などの介護負担は増大の一途を辿ることになります。