痛風と尿酸値
痛風はその名が示す通り、”風が吹いただけでも痛い”という意味から名づけられたといいます。
この痛風の根本原因は尿酸値の高さにあり、その尿酸になる前の姿をプリン体といいます。
プリン体は最近よくテレビCM等でも耳にする機会が増えましたが、人体をはじめ、あらゆる生物の細胞の核の中の核酸に含まれており、殆どの食品にも含まれています。
細胞が死ぬ時に、プリン体は尿酸に分解されて尿とともに排泄されていきますが、ビールや肉類・レバーといったプリン体を含む食品を摂り過ぎたり、排泄がうまくいかないと尿酸値が高くなって高尿酸血症となります。
この高尿酸値血症の状態でいると、尿酸が血液に溶けきらずに結晶となり関節に沈着して炎症を起こし、いわゆる痛風の症状となります。
このように、プリン体を含む食品を過剰摂取することによって尿酸が多く生産され、その増えすぎた尿酸が血液中に溶けきらずに尿酸が結晶化し、関節に沈着することによって炎症を起こす⇒痛風と呼ばれる状態になる、という経緯をたどることになります。
高尿酸値が引き起こす痛風の症状
このように痛風発作は血液中の尿酸値が高くなることによって起きます。正常の血中濃度は6.5以下ですが、8.5以上が続くと痛風発作はいつ起こってもおかしくない状態です。
尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、血中濃度が6.5以上では血液の中に溶けきれなくなり、特に体温の低くなる手足、耳たぶなどに少しずつ結晶として沈着していきます。
この結晶が大きくなると外からもしこりとして分かるようになり、痛風結節と呼ばれる症状が出ます。そこまで放置されている人は最近では珍しいでしょうが、尿酸の沈着は腎臓でも起こり、腎臓結石や腎機能障害、ひどくなると腎不全を起こすことがあります。また、動脈硬化の原因の一つでもあり、自覚症状はなくても高尿酸血症の治療は必要になります。
痛風は中高年の病気というイメージが強いですが、最近では20代からの方にも増えており、若いからといって油断せず正しい生活習慣に留意しましょう。
高尿酸値から発症・痛風の合併症
痛風は激痛に耐えれば後は問題ないと思われがちですが、その根底にある高尿酸血症のために様々な合併症を引き起こすことが多いため注意が必要です。
尿酸は主に腎臓から排泄されるため、尿酸が腎臓に沈着すると腎機能障害を起こしやすくなるだけでなく、これが重症化してしまうと腎不全になってしまう場合もあります。
また、尿路で尿酸が結晶化すると尿酸結石となり、さらに、高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病などを合併していると、動脈硬化の原因ともなり、狭心症、心筋梗塞、脳卒中を引き起こすとされています。
たかが痛風の痛みと侮らず、その奥に潜む高尿酸血症を治さないかぎり、重大な病気を招く可能性があることを念頭に置きましょう。