心筋梗塞の検査

心筋梗塞は一刻を争う病気であり、心筋梗塞の発作が起こったら救急車ですぐに医療機関に行って心筋梗塞の検査を受ける必要があります。
医療機関では、症状などから心筋梗塞が疑われたら、一刻も早く治療を始めるための検査が行われます。
心筋梗塞によって心筋が壊死すると、心筋の細胞に含まれていた数多くの酵素が血液中に流れ出てきますので、この酵素の濃度を調べることによって心筋梗塞の診断ができます。
特に心筋トロポニンT( トロポニンT、TnT)という酵素は普段は血液中にはないので、血液検査で心筋トロポニンTの値が上昇していると、心筋梗塞が容易に診断できます。
現在は、心筋トロポニンTが血液中にあるかどうかを迅速に調べられる診断キットがあるので、患者さんの血液を少量採取するだけで診断できるようになっています。
また他には、心臓エコー検査やホルター心電図といった検査方法がありますので、以下で解説します。

心臓エコー検査

心臓エコー検査とは、心臓超音波検査とも言われる検査方法で、超音波を用いて心臓の状態を検査する方法です。
この検査は、人の耳には聞こえないほどの高周波数の超音波を心臓に発信して、返ってくるエコー(反射波)を受診して心臓の様子を画像に映し出して診断する検査です。
超音波は、臓器や組織にあたると、歪が生じるので、心臓からエコーを受信して画像に映し出し、心臓の動きを観察します。
心臓エコー検査は心電図検査とは違い、心臓の状態を画像として見ることができる検査であり、心臓エコー検査は心臓の各部の状態、とくに弁の状態を詳細に検査することが出来るので、弁膜症の疑いがある時によく採用されます。
また、心臓エコー検査では心肥大や心膜炎、心筋炎なども診断することができ、痛みがないので、簡単に正確な情報が得られるのが特長です。
また、X線撮影やRI検査のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦や乳幼児でも安心して受けることができます。

ホルター心電図検査

ホルター心電図検査とは、一日を通じて心拍の様子を心電計で監視する方法で、定期検診等で行われる一般の心電図検査と違い、24時間を通じて日常生活における心機能の様子をモニターすることができる心電図検査です。
この検査は、またの名を携帯型長時間心電図とも言いいますが、通常はこの検査装置の基本を作ったホルター博士の名前をとりホルター心電図と呼ばれています。
ホルター心電図は長時間にわたって日常生活の心電図が記録できるので、不整脈や狭心症の発作時の心電図を捉えることができます。
また、ホルター心電図検査は、通常、心疾患の2次検査で用いられ、心疾患の確定診断で用いられます。
【ホルター心電図でわかること】

  1. 自覚症状と心電図変化の関係
  2. 不整脈が出現しているか、出現している場合、その種類と重症度
  3. 不整脈の治療薬を服用している場合、その効果について
  4. 心筋虚血(心筋への酸素不足)の有無とその重症度
  5. 狭心症の治療薬を服用している場合、その効果について
  6. ペースメーカーが正常に作動してるかどうかについて
  7. その他

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査とは、動脈内にカテーテルと呼ばれる細い管を通し、そこから造影剤を注入して心臓の動脈(冠動脈)を撮影する検査方法のことで、狭心症や心筋梗塞の診断に用いられます。
心臓カテーテル検査では、冠動脈の内のどの血管がどの程度狭くなっているか、またはどの程度詰まっているのかを詳細に調べることができます。
つまり、心臓カテーテル検査は、心臓そのものを検査する方法ではなく、心筋梗塞の原因である冠動脈の状態を詳細に調べるための方法になります。
この検査によって狭心症や心筋梗塞の確定診断をするとともに、治療方針の決定、たとえばバルーン療法(PTCA)を行なうのがいいのか、A-Cバイパス手術がいいのかといったことを判断する材料となります。
急性心筋梗塞の場合には緊急冠状動脈造影を行ない、カテーテルの先端から血栓溶解剤を注入して血栓を溶かし、詰まった部分の血流を再開させる治療(PTCR)も行ないます。
さらに、バルーン療法やステント挿入術も行なって、血流の再開を図る方法も採られます。

心筋シンチグラム

心筋シンチグラムとは、放射線同位元素(RI:ラジオアイソトープ)を体内に点滴注入し、RIの心臓への取り込まれ方を調べる検査方法のことで、こちらも狭心症や心筋梗塞の診断に用いられます。
おおまかに言うと、ガンマ線を検出した場合は「血流あり」と診断し、ガンマ線なしの場合は「血流なし」ということになります。
心筋シンチグラムは、冠動脈の状態を調べるのではなく、心筋細胞が虚血か虚血でないかを調べる検査になります。
方法としては、安静時と運動負荷時にシンチカメラで検出して、安静時の画像と運動負荷時の画像を見比べて運動負荷時だけ虚血が現れたのなら、労作性狭心症が疑われます。
狭心症の場合は、心臓カテーテル検査で細くなっている部分は見つからなかったが、胸の痛みの症状は出るといった人や心臓カテーテル検査で心臓の動きがあまりよくない人に対して、さらなる検査としてこの心筋シンチグラムを行うことがあります。
従って、心筋シンチグラムは心臓カテーテル検査の次の段階として行われることが多い検査ということになります。

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