心筋梗塞の治療にはどんなものがある?

心筋梗塞とは、冠動脈に血栓などがつまった疾患であり、その結果、その先の血管に血液が流れなくなるのが問題なので、心筋梗塞の治療の目的は、その血栓などの血管を閉塞させている物質を取り除くことになります。
血管につまった物質を取り除く方法としては、主に、

  • 血栓を薬で溶かす
  • 血栓を吸引する
  • 冠動脈形成術

といったものがあります。
これらの治療の目的は、最終的には閉塞した血管を元に戻し、広げて血流を良くしていくことです。
その具体的な治療方法としては、冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術、薬物療法の3つが代表的なものとして上げられます。
どの治療を行うかは、患者さんの心筋梗塞の状態や、他に病気をもっているかどうかなどにより判断されますが、個々の治療法の詳細を以下で解説します。

冠動脈インターベンション

心筋梗塞や狭心症の治療方法である冠動脈インターベンション(PCI)とは、カテーテールと呼ばれる細い管状の治療器具(直径約2mm)を、ふとももの付け根、手首、肘等に小さな穴をあけて血管へ通し、異常のある心臓の冠動脈まで到達させて治療を行う方法です。
インターベンションとは、カテーテルを血管に通して患部を治療する方法のことを指し、インターベンションを冠動脈に対して行うので、冠動脈インターベンションと呼ばれます。
カテーテルの中にはさらに細いガイドワイヤーと呼ばれる針金が通っていて、この針金を使って冠動脈の異常のある部分を治療します。
冠動脈インターベンションは、小さな穴をあける程度の傷だけですむので、回復も早く、患者さんへの負担を軽くすることができる治療方法ということになります。
カテーテルを挿入する場所は、元々は太ももの付け根から挿入することが多かったのですが、止血に時間がかかることや患者さんが痛みを感じることがあるといった理由から、最近ではさらに細いカテーテルを腕の動脈から挿入することが多くなっています。
心筋梗塞の治療には冠動脈インターベンション以外に、胸を切り開いて行うバイパス手術がありますが、治療方法の選択は患者さんの病気の状態により決定されます。
3本の冠動脈が全て詰まってしまっている時や、腎臓に障害があるときはバイパス手術が優先されて行われます。

冠動脈バイパス手術

冠動脈バイパス手術は、現在最も多く行われている心臓手術で、年間2万人以上の方がこの手術を受けており、2012年2月には天皇陛下もこの冠動脈バイパス手術を受けられたので、この手術の名前については多くの方がご存じのことと思います。
冠動脈バイパス手術は、主に冠動脈の根元に狭窄があったり、狭窄が広範囲に及んでいるなど、カテーテルを使った治療が困難な場合に行われます。
バイパスとして用いられる血管としては、内胸動脈(胸の後ろを走っている動脈)、右胃大網動脈(胃の周りにある動脈)、大伏在静脈(足の静脈)等があり、病態に応じて使い分けられます。
手術時間は4〜5時間程度で、3〜4週間程度の入院が必要とされます。

心筋梗塞の薬物療法

心筋梗塞の薬物療法に使用される薬には、以下のように硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬等があります。
●硝酸薬
 ニトログリセリンに代表される血管の拡張作用のある薬で、発作を抑えるための薬として常に携帯することになります。
 発作が出た際に服用するとすぐに効果が出る即効性のある薬ですが、予防には使用できず、また持続効果も30分弱と言われています。
●β遮断薬
 心臓の働きを抑えて仕事量を少なくする効果のある薬です。
●カルシウム拮抗薬
 冠動脈の痙攣を抑える作用があります。

薬物療法のメリットは、即効性が高く、すぐに効果が出るという点が上げられますが、当然ながら根本的な治療ができるわけではありません。
それでも治癒の段階において症状を止めたり、治癒を助けたりする効果は十分に期待できるといっていいと思います。
デメリットとしては、他の病気との兼ね合いで使用できない薬が出てくるという点で、もし喘息持ちの人がβ遮断薬を使ってしまうとかなり厄介な事態になってしまいます。
また、他の病気で使用している薬との兼ね合いもありますますので、問診の際にはそういった点も注意し、現在抱えている病気があれば必ず医師に伝えることが重要になってきます。
また、心筋梗塞はそもそもが血液の流れが悪い、あるいは詰まってしまった状態に根本原因があるわけですから、術後の治癒に向かっている場合等には、血液をサラサラ状態に持っていくことも重要になってきます。

おすすめサプリメント