急性心筋梗塞は発症2週間以内
心筋梗塞は発症からの時間の経過で治療法、重症度も異なるので、発症2週間以内を急性心筋梗塞(Acute Myocardial Infarction)、1か月以上経過したものを陳旧性心筋梗塞(Old Myocardial Infarction)とするのが一般的と言われています。
その中の急性心筋梗塞は、心臓に栄養と酸素を補給している冠動脈が急に詰まり、血流がその先に流れないことから、心臓の一部の筋肉が死んでしまう(壊死)病気で、急死することもあります。
急性心筋梗塞の症状としては30分以上続く胸痛ですが、同じ胸痛でも狭心症の場合は5〜15分くらいで、胸痛の持続時間が急性心筋梗塞の重要な目安になります。
心臓の筋肉には再生能力がないため、急性心筋梗塞の第1の治療は、詰まった冠動脈を再び開通させて(再灌流療法)壊死を最小限にとどめることにあります。
再開通は早ければ早い程良く、急性心筋梗塞の治療で心臓のダメージを少なくすることができる時間は、6時間と言われています。それを過ぎても12時間以内であれば、再開通することでダメージを少なくする効果はあるとされています。
WHOの調査では、急性心筋梗塞による死亡例は、80%が24時間以内で、その2/3は病院到着前です。
ちなみに専門施設のある病院到着後の死亡率は5〜10%です。
いずれにしても急性心筋梗塞の疑いがある時は一刻も早く医療機関にて受診する必要があるので、救急車を呼ぶなどして直ぐに医療機関に向かうことが重要です。
また、陳旧性心筋梗塞の重症度は心機能(心筋壊死の大きさ)と罹患枝数(りかんしすう)(狭窄の病変がある冠動脈の数)で規定されますが、この段階になると心筋の保護と動脈硬化の進展を抑えて次の心筋梗塞の発症を防止することが重要です。
急性心筋梗塞は若くて頑強な現役アスリートでも発症
心筋梗塞は、統計的に見ると確かに肥満の中高年に多い病気ですので、こういった方に対して急性心筋梗塞の危険性を訴えることが多いのですが、今や若くて現役バリバリのアスリートでも急性心筋梗塞に襲われたりするので注意が必要です。
記憶に新しいところでは、サッカーの元日本代表ディフェンス、松田直樹選手が2011年に急性心筋梗塞のため死亡しました。
何と34歳という若さで、しかも一般の方と比べても肉体的には頑強な現役アスリートなだけに、急性心筋梗塞で亡くなるなんて本当に信じられない感じがしました。
同様に、元U-21イングランド代表MFで、現在ボルトンで活躍中のムアンバ選手も23歳という若さにもかかわらず2012年3月17日の試合中に急性心筋梗塞で倒れました。(ムアンバ選手はそれから約1か月半後に奇跡的に回復し、多くの観客の前に元気な姿を現しました。本当に嬉しかったです!)
このように急性心筋梗塞は、若いバリバリのアスリートにも襲いかかる本当に怖い病気であるという認識が必要です。
特に心筋梗塞の原因となる動脈硬化は今や30代でも珍しくないと言われており、肥満や高血圧などの危険因子が多いほど発症しやすい確率は増しますが、少なくても発症する可能性があることは留意しておきたいものです。
この急性心筋梗塞は、とにかく発症してからでは遅いので日頃からリスクをできるだけ減らす生活習慣を心掛けるしかないと言われます。
動物性脂肪を控える、禁煙、適度な運動などの生活習慣の改善で血液をサラサラ状態に持っていくことが大きな意味をもってきます。